北海道での登山におけるヒグマの実情と対策をまとめてみる

日高山脈幌尻岳

先日、長野県松本市から札幌に引っ越してきたのですが、北海道で登山するうえで無視できないのが『ヒグマ』の存在です。

これからも楽しく登山を続けるために、ヒグマのリスクがどんなものなのか、また、ヒグマと会ってしまったときの対策などなど、ヒグマの実態についてあれこれと調べたので、現時点でのぼくの知見をまとめてみます。

北海道で登山をする方の参考になれば嬉しいです。ただし100%正しいとは限らないので、その点はご了承ください。

ヒグマの実態と対策まとめ

はじめに内容をまとめると、以下のようになります。

    • 登山での事故はかなり稀
    • 基本的に襲ってくることはない
    • 『所有』という習性がある
    • 対策の基本はツキノワグマとおなじ

それぞれ説明していきますね。

登山でのヒグマの事故はかなり稀

北海道でのヒグマの事故といえば、1915年の三毛別羆事件や1970年の福岡大ワンゲル部ヒグマ事件など、凄惨な事故が目につきますよね。

しかし意外なことに、純粋な登山でのヒグマによる事故はかなり稀で、1970年の事故以降、1件も発生していません(もし間違っていたらご指摘ください)。山中でのヒグマによる事故のおおくは、山菜採りや釣りをしている最中のものです。

今後ヒグマの事故がないとは言い切れませんが、事実として、登山中にヒグマによる事故が発生する確率はかなり低いと言えるでしょう。

基本的に襲ってくることはない

また、先述の事故から「ヒグマは人間を狙う」ようなイメージがあるかもしれませんが、それも間違いです。ヒグマは雑食ですが、基本的には木の実や草・魚などを食べていて、生きている動物を捕食することはあまりありません。

それは人間についても同様で、そもそも人間を食べ物としては認識していません。なので、事前にこちらの存在を知らせてあげればむこうから避けてくれます。

これだけ聞くと、「三毛別やワンゲルの事故ではヒグマが執拗に襲ってきたって書いてあるけど…?」と疑問にかんじる方もいるかもしれません。これらの事件には、ヒグマの『所有』という習性が関わっています。

「いちど手にしたものは自分のものである」という感覚があるので、それを奪うと取り返しにくるんですね。ですので、ヒグマになにかを与えたり奪われたりするのは非常に危険です。もしザックなどを奪われた場合、素直に諦めるしかないでしょう。

登山者がすべきこと、気をつけること

ここまで見てきて、あまり極端に怖がるべき存在ではないことが分かってきましたよね。それではここから、登山者がしたほうがいいこと・気をつけることを具体的にチェックしていきましょう。

ベルや笛などで存在を知らせながら登山する

ヒグマの存在を感じたらルートの変更や中止を検討する

熊スプレーを携帯する

イヌを連れて登山する

ゴミを捨てる・食べ物を与える

鹿の死骸や子グマに接近する

叫ぶ・背中をむけて逃げる

ベルや笛で存在を知らせる

まずヒグマ事故を予防する手段としてもっとも有効なのは、「そもそも出会わないようにすること」です。

ここはご存知の方が多いと思うので詳しいことは省きますが、ベルや笛などで存在を知らせながら登山することがヒグマ事故の最善の予防手段になります。

また、ラジオなどは常に音がなっていて登山者からしても周囲の音が聞こえづらいというデメリットがあるので、個人的にはベルもしくは笛・声で対応するのがベストかと思います。

ヒグマの存在を感じたらルートの変更や中止を

これは文字通り。

北海道の山ではヒグマの足跡やフンを目にすることがあると思います。乾いていて数日経っているものはあまり気にしなくてもいいかもしれませんが、フレッシュなフンなどを発見した場合はルート変更や登山中止を考えましょう。

また、獣臭さを感じたときも要注意です。

熊スプレーを携帯する

可能性がひくいとはいえ、ヒグマが襲ってきた場合の対抗手段として、熊スプレーの携帯をおすすめします。

主成分はトウガラシ(カプサイシン)で、至近距離から噴射して使います。ヒグマへの後遺症や自然への悪影響がほとんどない点で、現時点での最善の対抗手段といえるでしょう。

とはいえ、人間もかかると立てないほどの痛みを伴うらしく、風上から使用しないととんでもないことになります。また、扱いによっては意図しないときに噴射してしまうこともあるので、取り扱いには注意が必要です。

基本的にはセーフティクリップをつけたまま、すぐに取り出せる場所(ザックのサイドポケットなど)にセットしておきましょう。

ソウジュ

ここからはNGの事例です!

イヌを連れて登山するのはNG

ヒグマの存在に気づいたイヌが吠え立てて逆に相手を刺激してしまうことが懸念されるため、イヌをつれていくのは避けたほうがいいようです。

ゴミを捨てる・食べ物を与える

ゴミは当たり前ですし、直接餌付けすることは論外です。また、落としたり放置したり奪われたりした場合も、最終的にクマの手に渡ればそれは「食べものを与えた」ことになるので気をつけましょう。

とくに気をつけたいのがテント泊での食料の管理です。フードコンテナを利用するなどして「匂いがもれない」「たとえクマがきても奪われない」ようにしておくことが大切です。北海道のテント場には専用のフードボックスがある場合もありますので、積極的に利用しましょう。

また、調理もテントから離れて行い、テントに匂いがつかないようにするのがいいようです。

鹿の死骸や子グマに接近する

さきほど『所有』というヒグマの習性をお話ししましたが、鹿の死骸は、クマの持ちものの可能性があります。いちどに食べきれずに保管している場合があるので、鹿の死骸があっても近づかないようにしましょう。

また、子グマのまわりには母グマがいます。子を守ろうと無差別に攻撃してくる可能性があるのですぐに避難してください。

叫ぶ・背中をむけて逃げる

これもよく言われることですね。

ヒグマに遭遇した場合、大声をあげたり走って逃げたりしてはいけません。そういった行動は相手を刺激することになるので、ゆっくりと距離をとるようにしてください。

ソウジュ

…というのが一般回答ではありますが、実際にヒグマに遭遇したら「ゆっくりと距離をとる」なんてできるわけがない、とご指摘をいただきました!

焦ってもいいから、木や岩などを回りこんで「ヒグマと自分のあいだに障害物がくるようにする」のが現実的かつ有効だと教えていただきました。

まとめ・ヒグマのことを知るのがリスク軽減への第一歩

ここまで整理してきましたが、ちょっとスッキリした気がしませんか?

ぼく自身、北海道にきた当初はかなり怖かったのですが、整理した結果、必要以上に怖がることもないんだなと感じるようになりました。相手を知ったうえで、適切な行動をすれば、ヒグマによる事故のリスクはかなり抑えることができるのではないかと思います。

また、最終手段としてご紹介した『クマスプレー』を、札幌でレンタルするサービスを試験的にスタートしています。北海道に遠征登山するときには、ぜひご検討ください!

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