ここでは、オンラインの登山計画書の共有サービス『コンパス』の紹介と、その具体的な使いかたをまとめました。
- 登山計画書の作りかたを知りたい
- 登山計画書を紙でつくっている
- 提出がめんどくさい
そんなひとにおすすめなのが、『コンパス』というオンライン登山届け共有サービス。
慣れてしまえば5分もかからずに計画書をつくることができますし、他のメンバーへの共有や提出もすべてオンラインで完了。さらには下山報告もボタンひとつでできてしまいます。
そしてこのサービス、無料で使うことができるんです!
ここでは、そんな『コンパス』というサービスの紹介と、具体的な使い方を解説していこうと思います。
ソウジュ
コンパス | 山と自然ネットワーク
目次
登山計画書共有サービス『コンパス』とは?
コンパスは、登山計画書の共有サービス。これを使えば、計画書の作成・提出から下山報告まで、すべてをオンラインで完結することができます。
登山計画書の共有について
ヨウコ
ソウジュ
① 一緒に登山するメンバー
② 『緊急連絡先』に登録した家族や友人
③ 自治体・警察(遭難したとき)
これまでの登山計画書は、紙でつくった計画書を、それぞれコピーしてメンバーや家族、そして担当の警察署に提出しなければいけませんでした。
ヨウコ
ソウジュ
オンラインで提出できる警察もあるのですが、提出すべき警察は山ごとにかわるうえ、下山届もないので警察側はだれが無事に下山しているのか調べてみないとわからない、という状況。
それを打開すべく生まれたのが、『コンパス』なんです。
コンパスでできること
コンパスは計画書の作成・共有サービスですが、他にもいろんな機能があります。
- 山の天気がわかる
- 登山の記録(ログ)がつけられる
- 登山中にはナビとして使える
じつはけっこういろんなことができるのですが、個人的には全体的に使い勝手がわるい気がしています。
ここでは、「登山計画書をつくる」・「共有する」・「下山届をだす」という、コンパスの基本的な3つの機能にしぼって紹介していきますね。
コンパス | 山と自然ネットワーク
オンライン登山計画書サービス『コンパス』の仕組み
さっそく使いかたを見ていきたいところですが、そのまえにコンパスの仕組みをチェック。「もし遭難した場合に、どんな流れで捜索がスタートするのか」をザックリおさえておきましょう。
コンパスを使って、登山計画書をつくります。完成したら、そのままオンラインで提出!
提出すると、一緒に登山するほかのメンバーや緊急連絡先に登録した友人・家族に計画書が共有されます。
下山したら、コンパスから下山完了ボタンをおしましょう。
メンバーや緊急連絡先にも、下山したことが共有されます。
とくに何もなければ、ここまでのステップで登山は完了です。
以下は、何かトラブルがあった場合の流れになります。
予定下山時刻をすぎても下山ボタンがおされていなかった場合、登山者やメンバーに「下山してますか」という確認のメールがとどきます。
もし下山届を忘れていただけなら、このタイミングで下山ボタンをおせばOKです。
予定下山時刻から7時間をすぎても下山が確認できない場合、登山者・メンバーのほか、緊急連絡先に「下山が確認できていない」というメールがとどきます。
もし遭難していた場合、緊急連絡先はこのタイミングではじめて遭難を知ることになります。
緊急連絡先から、警察や自治体に遭難の連絡がいきます。
コンパスを通じて、警察・自治体へと計画書が共有され、具体的な捜索へと進んでいきます。
基本的には、何事もなく下山すればステップ3もしくは4で完了します。
ステップ4は、予定時刻の3・5・7時間後にそれぞれメールでおくられます。下山が遅れたり忘れていたりしても、7時間以内に下山報告をすればとくに問題はおきません。
7時間を過ぎても下山報告がない場合、ステップ5以降の流れで捜索へと向かっていくかたちです。
コンパスの使い方①ユーザー登録をしよう
それではいよいよ、実際にコンパスを使っていきましょう。まずはユーザー登録から。
名前やアドレスなど、順番に入力していきましょう。
メールアドレスを入力したら、そのしたにある「確認メールを送る」をクリック。入力したアドレスに、コンパスからメールが届くので、そこに書かれている『チェックコード』という4桁の数字を入力してください。
メールが届かないばあい、アドレスが間違っていないかチェック。間違っていたら入力しなおして、もういちど「確認メールを送る」をクリックしましょう。
チェックコードとパスワードを入力したら、いちばんしたの「確認画面」をクリックし、情報を確認して「送信」しましょう。
画面右上の「ログイン・新規登録」ボタンから、こんどはID(登録したメールアドレス)とパスワードを入力してログインしましょう。
IDとパスワードは毎回必要になるので、どこかで保管しておくといいですよ。
こんな画面が表示されたら、ユーザー登録は完了です!
コンパスの使い方②登山計画書をつくって提出しよう
では実際に、登山計画書をつくっていきましょう。コンパスでの計画書のつくりかたは、「地図から」と「フォームから」の2つのやり方があります。
ここでは「フォームから」の作り方を解説していきますね。ログインしていない場合は、まずログインしてから次のステップに進んでください。
なお、登山口や山のなかは電波が入らないことがほとんどです。計画書は事前につくって提出しましょう!
登山計画書をつくる(フォームから)をクリックします。
フォームというのは、入力欄のこと。入力欄を埋めていくだけで計画書が完成します!
こんな風に入力欄がたくさん表示されるので、順にうめていきます。目的地や入山口、出発時間などがあります。
「経由地・泊地」という項目は、「地点を追加」ボタンで追加することができます。
日帰りであれば、①入山口・②山頂(経由地)・③下山口の3つは登録しておきましょう。
泊まりを含んでいる場合は、「泊地」タブをクリックして宿泊地なども入力していきます。
入山口や下山口などでは到着時間や出発時間をいれる項目があるので、だいたいのスケジュールで入力してください。
どのくらい時間がかかるのかわからない場合は、『山と高原地図(紙の登山地図。1冊1000円)』や『ヤマップ(無料の登山地図アプリ)』を利用しましょう。
YAMAP
登山の基本は朝早く登り始めて、午後早く下山すること。遅くとも15時くらいには下山できるように計画を立てましょう。
『エスケープルート』って?
非常時に下山するときのルートのこと。
ひとつの山には複数の登山口やルートがあるので、「ここで何かあったらこっちに下りる」というのをあらかじめ決めておきます。
入力しおわったら、「次に」ボタンをクリック。
食料や水、装備を入力していきます。
日帰りの装備の例は以下の通り。
レインウェア・防寒着・登山靴・バックパック・財布・着替え・ヘッドランプ・スマホ・バッテリー・地図・コンパス・ファーストエイドキット・エマージェンシーシート・食器・日焼け止め・サングラス
ちなみに、右にある「保存」ボタンをおすと、その内容を保存してくれるので、次回以降は「呼出」をクリックするだけで同じ装備が自動で入力されますよ。
山岳保険の有無なども入力して、「次へ」をクリック。
提出者情報として、住所や連絡先などを入力。ひととおり入力したら「次へ」。
「情報の公開」という項目は公開(つまりチェックをつけない状態)にしておくと、コンパス上で友人とつながるときにスムーズです。
つぎに、同行者としてメンバーを登録していきます。
メンバーのメールアドレスを入力すると、計画書がメンバーに共有されます。必須ではありませんが、できれば埋めておきたいところですね。
ちなみに、ほかのメンバーもコンパスを利用していてユーザー登録が済んでいるばあい、事前に「友達」になっておくと「友達リスト」から選べて便利です。
そのしたの「緊急連絡先」も、設定から登録しておくといいでしょう。入力がおわったら「確認画面」をクリック。
さいごに計画を確認して、よければ「登山届を提出する」をクリックしましょう。これで、登山計画書をつくって出すところまで完了です!
登録したアドレスに、コンパスから「登山計画を受け付けました」というメールが届いていればOKです。この時点で、メンバーと緊急連絡先にも計画が共有されます。
これで、登山計画書をつくって出すところまで終わりました!当日はめいっぱい登山を楽しめますね!
コンパスの使い方③下山届をだそう
登山がおわって無事に下山したら、下山通知をだしましょう。これもコンパスからオンラインで行えます。
計画書を出したときに受け取った、コンパスからのメールを見つけましょう。
「下山後、以下URLより下山通知を行ってください」というところのリンクをクリック。
こんな画面になるので、右下の「下山通知」をクリック。確認のポップアップがでてくるので、確認して「OK」を押しましょう。
こんな画面が出れば、下山報告も完了です。この時点で、メンバーや緊急連絡先にも「下山した」というメールが配信されます。
これで下山通知も完了です。お疲れ様でした!
実際の登山では、計画書を作って提出し、下山したら通知をいれる、というステップを毎回することになります。
まとめ:コンパスを使って快適な登山ライフを!
「登山計画書」ときくと堅苦しくて面倒なイメージがあったと思いますが、コンパスを使えば、じつはけっこう簡単にできてしまいます。
初めてだと時間がかかりますが、慣れてくればどんどんスピードもあがるはず。じっさい、ぼくは登山口に向かう電車のなかで5分ほどでササッとつくって出してしまうことがほとんどです。
登山計画書は、もしなにかあったときに自分の命をすくう、いわば「最後の砦」。登山計画書をださずに遭難してしまうと、その発見はめちゃくちゃ大変なのが現状です。
たとえば『奥多摩の計画書未提出の遭難者捜索ルポ』では、遭難から発見までに1年以上がかかってしまっています。
コンパスをつかえばすぐにできるものなので、面倒がらずに毎回しっかりとだす癖をつけるようにしましょう。そして、快適な登山ライフを楽しみましょう!
コンパス | 山と自然ネットワーク
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