低体温症はなぜ怖い?実例をふまえて解説します

冬の北アルプス

ここでは、低体温症の怖さについてまとめました。

登山のリスクのひとつである『低体温症』。初めて聞いたひともいれば、「ああ、低体温症ね」と思ったひともいるでしょう。

『低体温症』は、書いて字のごとく「体温が下がることによる体調不良」のこと。

ヨウコ

体温が下がっても、べつにたいしたことにはならなくない…?

たしかに字面だけみればそんなイメージを持ちやすいのですが、じつは登山における低体温症は『致命傷』なんです。

ここでは、

  • なぜ低体温症が怖いのか
  • 低体温症になるとどうなるのか

というあたりを、実際の事例をまじえながら解説していきます。

低体温症の怖さは『正常な思考』が失われること

結論からいうと、低体温症のほんとうの怖さは『正常な思考』がはたらかなくなることです。

寒ければ、風をしのいで防寒着をはおったり、温かいものを食べたりと、それ以上寒くならないためのアクションをとります。これはいたって普通の、いわば『あたりまえの思考』ですよね。

ところが低体温症が進行すると、この『あたりまえの思考』ができなくなってしまうんです。つまり、寒くて体が冷えているのになんの対処もできない。結果、さらに冷えていくという負のループで、最終的に命を落とすことになります。

普段なら『あたりまえ』にできるであろう行動や判断がまったくできなくなってしまう。これが、低体温症の正体です。

だから、低体温症の事故にはツッコミどころが多い

低体温症が原因となった遭難や事故には、不可解というか、ツッコミどころがおおいことに気がつきます。ニュースをみて、「いや、ふつうそんな行動しないでしょ」とか「なんでそんな状況になるわけ?」と疑問を感じたことはないでしょうか。

たとえば、寒いはずなのに逆に服を脱いでいるとか、防寒着をもっているのにそれを着ていない、とか。

ここまで読めばわかると思いますが、つまり、それこそが「正常な思考ができなくなった」結果なんですよね。

低体温症の体験談

登山中に低体温症になりかけたひとを目撃した友人に話をきくことができました。ザックリまとめると、こんなかんじ。

  • 時期は残雪期のおわりごろ
  • 低体温症になったのは、いちばん登山経験が豊富かつ装備もしっかりしていたメンバー
  • 小雨に降られているなかでの登山だった
  • 登りはずっと樹林帯で、寒さは感じていなかったと思われる
  • 頂上ちかくの稜線で吹きさらしのポイントがあり、そのさきに冬季小屋があった
  • 小屋についたとたん、急に動けなくなった(ここで低体温症が発覚)
  • まわりが厚着させたりホッカイロを渡したり、お湯を飲ませたりしても効果がなく、バーナーで手を温めてあげたところ回復した

さらに、本人はこんなことをおっしゃっていたようです。

  • 体がロックされてみたいで動けなくなった
  • まわりの声も聞こえなかった

この話を聞いたときに、「低体温症になっている本人には、何もなすすべがないこと」がほんとうに怖いと思いました。もしソロ登山で低体温症になってしまったら、助かるのはほぼ不可能ということになりますよね。

また、ここまでで分かるとおり、低体温症は「なってからどうするか」よりも「ならないためにどうするか」のほうが重要で効果的なアプローチになります。

低体温症を予防するための手段

低体温症の予防手段としてパッと思いつくのはこのあたり。

  • しっかりとした装備を整える(とくにウェア)
  • ウェアの着こなしである『レイヤリング』を理解する
  • 水分をこまめに補給する(体温調節には水分が不可欠)
  • 行動食のこまめな補給(体温をあげるにはエネルギーが必要)
  • 歩くペースをコントロールして発汗を減らす

綿素材のウェアを避ける(わかっていると思いますが念のため)といった基礎的なところはもちろん、ウェアの着こなしテクニックである『レイヤリング』の理解も大切です。

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また、体温を保つためにもっとも有効なのは、水分とエネルギーの補給です。このあたりは悪天候ではないがしろにしてしまいがちですが、むしろ悪天候のときにこそ意識的な補給が必要になってきます。

まとめ:低体温症のリスクを理解してマネジメントする術を身につけよう

ここまで低体温症についてお話ししてきましたが、低体温症の怖さやその予防策は伝わったでしょうか。

明るい話題ではありませんが、リスクをしっかりと学んでおくことはより安全な登山へと繋がります。リスクにもしっかりと目を向けて、登山を楽しみましょう!

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