アプリ?地形図?登山における地図の種類とおすすめの使い分け

3種類の登山地図

山岳遭難の40%を「道迷い」が占めるなか、登山における『地図』というトピックには、いまだに論争があるように思います。

昔から登山を続けてきたひとのなかには「登山者たるもの地形図でナビゲーションできるべき」という考えをもっている方もいますし、逆に、登山を始めたばかりのひとは「地図アプリさえあれば大丈夫でしょ」という感じで、そもそも『地形図』なんて知らないひとも見受けられます。

また、『山と高原地図』はいまだにたくさんの登山者のバイブルです。

ここでは、そんな『地図』の種類と特性を客観的に整理しながら、どのように活用すれば登山のリスクを減らすことができるのか考えてみたいと思います。

登山の地図は3種類

まずはじめに、登山における『地図』の種類を整理しておこうと思います。ひとことで『地図』と言われますが、じつは登山には、おおきく3種類の地図があります。

  • 国土地理院の発行する『地形図』
  • 山と高原地図などの紙の『登山地図』
  • YAMAPなどの『地図アプリ』

ソウジュ

グーグルマップなど「ふつうの地図」は登山では使えないので要注意!

それぞれサクッと説明します。

地形図

さまざまな記号や等高線をつかって『地形』をあらわした紙。登山ではおもに25000分の1の縮尺のものを使う。コンパスと併用してナビゲーションをする。

登山地図

登山道のルートやコースタイム(歩くのにかかる目安時間)、登山口の場所やそこまでのアクセスなどなど、登山をするうえで必要な情報がまとめられた紙の地図。

『山と高原地図』がいちばん有名で使いやすい。

地図アプリ

上記の『登山地図』をスマホのアプリ化したもの。登山の情報にくわえて、GPSをつかって現在地を表示したり、ログをとったりする機能がある。

有名どころは『YAMAP(無料あり)』と『山と高原地図アプリ版(有料)』。

それぞれの地図のおすすめの使い分け

ではさっそく結論です。3種類の地図は、以下のような使い分けがおすすめです。

地図の種類 使い方
地形図 登山中のサブ地図として、いざという時に正確なナビゲーションをするために使う
登山地図 登山の計画をたてるときに使う
地図アプリ 登山中のメイン地図として、ルートや現在地の確認に使う

計画をたてるときに登山地図、登山中のメインナビケーションとして地図アプリ、サブとして地形図をそれぞれ使いわけるのがいいんじゃないかと思います。

山によっても変わりますし、地図アプリひとつで計画から登山まですべてをカバーすることも可能です。ただ、バッテリー切れやスマホの故障に備えてバックアップの地図はもっておきたいですし、計画をたてるときには広い範囲を俯瞰できる登山地図が便利です。

ここからは、それぞれの特徴を整理しながら説明していこうと思います。

地形図の特徴とメリット・デメリット

地形図とコンパス

スマホのバッテリーや故障に影響されない

習熟すれば精度が高いナビゲーションが可能

網羅範囲がひろい(国内ならどこでも使える)

習得するのに時間がかかる

準備に手間がかかる

かさばる、荷物になる

雨や風に弱い

地形図とコンパスで現在地やルートを確認する方法(『読図』といいます)です。

おもに国土地理院の発行している25000分の1の地図(400円前後)を購入するか、ネット上でダウンロードして印刷して使い、コンパスも専用のものが必要です。

また、事前に地形図に磁北線を引くなどの準備が必要になるうえ、コンパスの使い方・地形図の読み方ともにコツがいるので使いこなすのが大変かつとっつきずらい。

一方、ホワイトアウトなどで視界が失われたときに無事に下山する唯一のナビゲーションなので、登山者はぜひとも身につけておきたいスキル

登山地図の特徴とメリット・デメリット

山と高原地図

広い範囲を俯瞰でき、位置関係が把握しやすい

登山に役立つ情報がまとめられており非常に便利

雨や風に弱い

単体では現在地を把握できない

登山の情報がまとめられた地図なので、登山に関する情報収拾に便利です。また、ひろい範囲を俯瞰できるので、とくに縦走などの計画をたてるときには本当に重宝します。

雨風に弱いのは紙なのでいたしかたないですが、地形図や地図アプリと比べると「単体では現在地を把握できない(登山道の分岐点や標高が必要)」という非常に痛いデメリットがあります。なので、登山中のナビゲーションとしては他のふたつを使う必要があります。

これだけ読むと3者のなかで最弱のように思えますが、登山に関わる情報はおそろしく充実しており便利なので、多くの登山者に支持され使われつづけています。有名どころは『山と高原地図』で1冊1000円ほど。アプリ版(下記)もあり。

地図アプリの特徴とメリット・デメリット

登山地図アプリYAMAP

現在地やルートの確認が簡単

かさばらず、荷物にならない

導入が簡単で、誰でもすぐに使える

精度が不正確なことがある

バッテリー切れや故障・紛失時に使えない

データ化されてない山域(マイナーな山など)では使えない

スマホのアプリとGPS機能をつかって登山道や現在地を表示する仕組み。

アプリと地図データを事前にダウンロードしておく必要があるが、それさえ済ませておけば電波がなくても現在地が表示されるので非常に使いやすく、荷物にもなりずらいというメリットがあります。

一方で、スマホという電子機器ありきなのでいざという時には弱く、GPSによる現在地表示もズレがあることも。

有名どころはYAMAP(無料あり)と山と高原地図アプリ版(1部500円)のふたつ。登山道とコースタイムのみならばYAMAP無料版で問題ないけれど、山と高原地図のほうが情報量がおおくて使いやすく、表示も綺麗です。

万能なのはアプリだが、単体では心もとない

こうやって整理してみると、それぞれにメリット・デメリットがあることが分かりますよね。

現状、いちばん万能なのは『地図アプリ』です。

準備が簡単だし、現在地を出してくれるので雨が降っていても素早くルート確認できるので、登山中のメイン地図としては申し分ありません。しかし、『スマホ依存』・『GPS精度』という点で単体では心もとなく、バックアップの地形図が必須になります。

ソウジュ

行き慣れた山やゆるい日帰り山行は地図アプリだけで行くこともあるのですが(もちろん予備バッテリーは必須)、縦走や雪山となると3種類すべて用意します

まずは地図アプリからスタートして、コンパスナビゲーションを練習するのが吉

では、これから登山を始めるひとや、登山を始めたばかりのひとはどうすればいいのでしょうか。

ヨウコ

いきなり3種類も地図用意しなきゃいけないの…

ソウジュ

とりあえずは地図アプリからスタートしよう!

もちろん全て揃えるのがベストではありますが、現実的な方法として、まずは地図アプリを使って山に登り、慣れてきたら地形図とコンパスを用意して、すこしずつ練習していくのがベストだと思います。登山地図については、よく行く山域のものを手始めにひとつ買ってみるのがおすすめです。

読図(地形図とコンパスによるナビゲーション)は一朝一夕で身につくものではないので、すこしずつ練習して身につけていきましょう!

とはいえ、「練習しようと思っていても、いざ山に行くとテンションが上がってしまって忘れてしまう」というひともいますよね。

ソウジュ

ぼくのことです…

個人的におすすめなのは、「コンパスナビゲーションの練習のための山行をする」です。つまり、山に行くついでに練習するのではなくて、コンパスナビゲーションの練習のために山に行く、ということ。

ぼくは近所の裏山で練習したのですが、それだけに集中したおかげで一気に習得度が上がりました!地図アプリがあれば答え合わせができますし、ルートミスしても気づくことができるので安心して練習ができますよ。

まとめ・使えるものはうまく使ってリスクを減らそう

さいごにまとめると、以下です!

地図の種類 便利度(使いやすさ) 信頼性 おすすめの用途
地形図 ★★☆☆☆ ★★★★★ 登山中のバックアップ地図
登山地図 ★★★★☆ ★★★★☆ 計画をたてるとき
地図アプリ ★★★★★ ★★☆☆☆ 登山中のメイン地図

テクノロジーの進化によって、日に日に登山は身近になってきているように思います。

携帯電話がスマホにシフトしたように、ときにはそれまでの価値観を覆すような大転換が起こることでしょう。ついつい今までの方法に固執したくなりますが、それぞれのメリット・デメリットを見極めて、いいとこどりしていきたいですね。

ぼくら登山者にとって大切なのは、手段ではなく、「リスクを減らすこと」だということを、常に忘れないでおきたいものです。

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