山で死なないために。登山を始める人への3つのアドバイス

登山者の影

ここでは「これから本格的に登山を始めるぞ!」というひとにむけて、命を落とさずに山を楽しむためのアドバイスを3つお話しします。

あまり意識することはないかもしれませんが、登山では「ちょっとバランスを崩した」といった、ほんの些細なミスが命とりになります。

そんな登山をするうえでは、『死なないための考え方』を身につける必要がありますよね。

ぼくは「登山の技術や知識は、つづけるなかで身につけていけばいい」というスタンスなのですが、この点についてだけは、できる限り早く知っておいたほうがいいと考えています。

お伝えしたいことはたくさんあるのですが、ここでは、ぼく自身が「登山をはじめるときに知っておきたかった!」と思う3つの考え方を厳選して紹介します。

難しい技術や知識の話ではないので、あまり身構えずにチェックしてみてください。

山で死なないために、登山の初心者へおくるアドバイス

ぼくがこれから登山を始めるひとにおくりたいアドバイスは、つぎの3つ。

  • 『登頂』よりも『無事に下山』すること
  • 登山は準備が8割
  • 『想像力』こそが最高のリスクマネジメント

それぞれ説明していきますね。

『登頂』よりも『無事に下山すること』

登山のゴールは、登頂することでも景色をみることでもなく、「無事に下山すること」です。

「登山は登りが勝負。登ってしまえば、あとは下りるだけ」というイメージをもたれがち。でも実際には、山岳事故のほとんどは登りではなく下りで発生しているのです。

山頂は、距離的にいえばやっと半分、登山全体のリスクでみればまだほとんどが残っている状態、ということになります。

「せっかく来たんだから、なんとしても登頂したい」という気持ちは分かります。とくに社会人は休みが限られているので、多少無理をしてまで時間をつくって山にきているひともいますよね。

ただ、登山を心から楽しむためには『心の余裕』みたいなものが必要です。

これは、1ヶ月かけて北アルプスの全山縦走にチャレンジした(達成することはできませんでした)ときに実感しました。

登山がしたくて、山が好きで、「1ヶ月かけて山をあるこう」と思って計画したのですが、時間的な制約もあったことから、ちょっと体力的に厳しいプランを組んでしまいました。

そしていざスタートしてみると、予定通りに進めないことに焦りを感じてしまって、心から山を楽しむことができなくなってしまったんですね。山はとても綺麗なのに、なぜか100%楽しむことができない、そんな違和感をもっていました。

「何時までに下りなければ」といった時間の制約は登山にはつきものですが、余裕のない状態で山頂を目指しても、登山の楽しさは失われてしまいます。

山頂からの景色はやはり綺麗ですが、無理ならばいさぎよく下山したほうが逆にその山を楽しめたりするもの。

登山を楽しむためには、ときには『撤退』という判断も必要ですし、むしろ登頂するよりもおおきな経験になります。

安全に、そしてなによりも自分が楽しく登山をするために、「無事に下りられるかどうか」をつねに判断の基準にするようにください。

登山は準備が8割

登っているときの大変さに目がいきがちですが、登山のリスクをさげて楽しむためにもっとも大切なのは、むしろ『準備』のほうです。

「登山は準備が8割」というひともいるくらい。

はじめはぼくも「準備はたしかに大事だけど、8割は大げさなんじゃないの。実際に登って下りるほうが大変じゃん」と思っていました。

登山の準備って、計画をたてて道具をそろえて、あとはちょっと運動しておく、くらいのもの。

たしかにそれさえしておけば山に登ることはできるので、『登山するうえでの最低限の準備』というのはそんなに大げさなことではないですし、ぜんぜん『登山の8割』というようなものではありません。せいぜい3割とか、そんなものでしょう。

ただ、これも登山をつづけるうちにだんだん考えが変わってきて、「ああ、たしかに『登山は準備が8割』というのは本当にそうだな」と実感するようになりました。

ぼくがそれを痛感したのは、またおなじ例になってしまいますが、さきほどあげた北アルプスの全山縦走

この縦走は自分なりにいろんなことを考えて何ヶ月もまえから準備をして臨んだのですが、それでも撤退という結果に終わってしまいました。本気でとりくんできた縦走だったので、そのときのショックはかなり大きくて。下山してから何日かかけてじっくりと振り返りました。

その結果たどりついた答えは、「準備が全然たりなかったな」ということ。

何ヶ月もかけて準備をしてきたのに、それでも、準備が足りなかったと思ったんです。逆に、準備さえ完璧にできていれば、縦走はおそらく成功させることができたな、とも思いました。

いやいや、なにをそんなに準備することがあるんだよ、って話ですよね。

それは、イメージトレーニング。

イメージのなかで登山口までいき、登頂しておりてくる。これをめちゃくちゃ鮮明にイメージすること。これこそが、登山の準備の本質です。

このイメージっていくらでも具体化することができて、極端なことをいえば、「どこに足をおくのか」とか「ここからここまで行くのに何分かかる」とか、そういうレベルまでイメージすることも可能です。

イメージを具体化すればするほど、「こういう情報が必要だから調べよう」とか「ここは予定よりも時間かかりそう」とか「あそこはもしかして凍ってるな」というのが洗い出せるので、それに合わせて準備をととのえることができます。

登山の当日に家をでるときには、もう登って下りてくるまでの流れが全部イメージできているので、あとはそのイメージどおりに動くだけ。この状態になれば、準備が8割というのも納得できる気がしませんか?

『想像力』は登山における最高のリスクマネジメント

登山でいちばん大切な力はなにかと聞かれたら、ぼくは『想像力』と答えます。

体力や判断力ではなく、想像力です。

すでに登山をしているひとはわかると思うのですが、じつは山に登るのって、イメージしているのよりもずっと簡単ですよね。

若くて体力があるひとなら、天気さえよければ国内のほとんどの山はスニーカーと普段着でも登れてしまうでしょう。また、途中でちょっと足を滑らせても、とっさにバランスをとって転ばずに済む、といったこともありますよね。

そして、なんどか無事に下りてくることができると「あ、登山って簡単じゃん」と思うようになっていきます。

ですが、こういう登山を続けているうちは、何年たっても危なっかしい登山者のまま。いつか事故を起こすだろうな、というのはかんたんにイメージできますよね。

リスクを下げて、事故を起こさずに登山をつづけるには『想像力』が必要です。

登れたのは「たまたま」天気がよくて途中で急変することもなく、「たまたま」転ばなかっただけ。

もしあのとき急に天気が変わって、1メートルさきも見えないくらいの濃い霧につつまれてしまっていたら。もし足を滑らせたのが10メートルの崖のうえだったら。なんともなく通れた登山道が、もし急に崩れてしまっていたら。

あなたはいま、無事にこの記事を読んでいられたでしょうか。

もしゾッとするようなイメージを想像できたなら、「それを避けるにはどうすればいいのか」を考えますよね。その結論がなにか道具を揃えることかもしれませんし、あたらしい知識や技術を習得することかもしれません。

「何事も起きなかった平和な登山」からなにかを学び、自分の経験として蓄積できるかは、あなたの『想像力』にかかっているのです。

まとめ:リスクとうまく付きあいながら登山を楽しもう

『死ぬ』とか『リスク』とか、登山のマイナスな部分がかなり強調された内容になってしまいましたが、事故なく登山をつづけていくためには、どうしても知っておくべき内容をお話ししてきました。

ぼくは登山の素晴らしさやプラスの部分ばかりに目を向けるのではなくて、リスクなどのマイナスの部分についてもしっかりと理解したうえで、それらをうまくコントロールしながら登山する、そういう姿勢が理想的だと考えています。

ここで紹介した考え方は、登山をはじめたばかりのころはあまりピンとこないかもしれません。

それなのになぜこんな記事を書いたのかというと、それは「知っている」と「知らない」という状態には天と地ほどの差があると思うからです。

腑に落ちない部分もあるかもしれませんが、「そういうもんなんだな」くらいの感覚でいいので、意識の片隅において登山を楽しんでください!

いつになるかは分かりませんが、登山をつづけていくなかできっと「あ、あの記事に書いてあったのはこういうことだったんだ」と実感するタイミングに出会うと思います。

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