【好きなことで生きていく】登山用品店を退職します

冬の常念岳

こんにちは。ヤマワカを運営している南蒼樹です。

とても個人的な話なのですが、現在つとめている登山用品店を退職することが決まりました。今回はその経緯や、「好きなことで生きていく」を実行してみて感じたこと、そしてこれから何を目指すのか、といったことをまとめてみたいと思います。

誰のためになるわけでもないと思いますが、備忘録としてつらつらと書いていくので、もし興味があるかたはお付き合いください。

後編として、登山用品店の仕事を具体的に紹介する記事も公開してます!

山で迎える夜明け登山用品店のリアル。仕事内容からメリット・デメリットまで話してみる

登山が好きで、登山用品店で働いています

夏の西穂高岳

まずはじめに、現在の状況と、そこに至った経緯について軽くまとめます。

ぼくはいま、長野県松本市の某登山用品店でアルバイトとして働いています。北アルプスの麓に暮らしながら、大好きな登山用品に囲まれて仕事をし、休みの日には山を駆けまわる。そんな生活に憧れて、それをやってみた、という感じです。

もともと長野県出身で、大学を卒業してから都内でエンジニアとして働いていました。ワークスアプリケーションズという会社で、給料は年600万弱。正直、新卒としてはありえない額をもらっていたんですが、1年ちょっと働いて「もっと山にどっぷり浸かる生活がしたい」と思ったんですよね。

結局2017年の6月末に退職して、北海道の山を巡ったり、離島に行ったり、南アルプスの縦走をしたりして夏を過ごしたあと、現在の登山用品店にアルバイトとして拾ってもらいました。

山に関わる仕事はけっこうたくさんあると思いますが、「まとまった休みを定期的につくって、いろんなところを縦走したい」という気持ちがあったので、山小屋や宿泊施設のスタッフは避けました。また、正社員ではなくアルバイトを選んだのもおなじ理由です。

そんな経緯で、憧れた「北アルプスの麓に暮らしながら、大好きな登山用品に囲まれて仕事をし、休みの日には山を駆けまわる」という生活スタイルを手に入れました。

職場の先輩がたもとても目にかけてくださり、ほぼ毎月5連休をつくっては山に出かけたり、1週間の野外救命講習に参加したり、1ヵ月の北アルプス縦走にチャレンジしたりと、かなり自由に登山ができる環境でした。また仕事の面でも、いろんな登山用品に触れてその選び方を学んだり、最新の業界情報にふれたり、さらには社割で登山用品を買えたりと、まさに「好きなことで生きていく」に近い状態だったと思います。

「登山で生きていく」をやってみて

そんな「好きなことで生きていく」を1年半やってみて、考え方がかなり変わりました。

お金があったうえで好きなことをしたほうがいい

もう、ひとことでいうと、お金がない。

ぼくはもともと「好きなことをやって、そのうえでお金を稼げればベストだし、もしお金がなくても好きなことをできれば幸せ」という考え方をしていました。実際には「好きなことでお金かせげたらいいなぁ」という適当なものではなく、「これとこれをやって収益化しよう」という、ある程度具体的なビジョンをもって「好きなことで生きていく」を選択したつもりです。

でも、現状ぜんぜんお金がないんですよね。収益・支出ともに色々と反省点はあるのですが、それはおいといて(ちなみに現職の年収は150万ほどでした)。

ぼくはかなりズボラな性格で、銀行の残高が5万切っててもあまり焦りを感じないタイプなんですが(そして実際、かなりの頻度でそんな状態だったりします)、それでもお金がないというのは地味に消耗します。

まず、健康的な生活をするにはある程度のお金が必要です。インスタント麺で1日300円で過ごすことはできますが、ちゃんと栄養バランスのとれた食事をしようとすると、自炊しても1日1000円弱はかかりますよね。お金がないからといって不健康な生活を続けて病気になったらもうお先真っ暗だな、とか、能天気なぼくでもたまには考えたりするわけです。

あと、移動にかけるお金がほぼ捻出できなかったので、「山にいこう」となったときに、チャリ・電車・バスでいける範囲の山から探すようになっていました(ちなみに常念岳や蝶ヶ岳は、駅から登山口まで歩けば片道300円くらいで行けました)。近場にもいい山はたくさんあるのでそんなに問題はないんですが、「これは本当に好きなことをできていると言えるのか?」と考えると、ちょっと自信がないです。

こうやって書くとべつに大したことじゃないんですが、そういう小さな不安・不満がつきまとう生活は想像するよりもしんどいものです。そんなわけで、お金があって、そのうえで好きなことをするのが理想だと考えるようになりました。とくに登山はお金がかかるのでなおさらですね。

毎週2連休があるサラリーマン、地味に強い

登山がしたいからサラリーマンをやめ(バイトも一応サラリーマンですが)、アルバイトとして働くようになったのですが、「毎週2連休が保証されている」というのはじつは本当にすごいことだなと感じるようになりました。これは、同じようにサービス業で働いている人には分かってもらえるんじゃないでしょうか。

ぼく自身、毎月5連休をもらったりしていますが、残りの休みをすべて連休でとれるかというと、正直それは厳しいです。なので例えば月に12日休みがあったとしても、だいたいは5連休1回+2連休1回+単休5回みたいなかんじになるわけです。休みの日数でいえばふつうのサラリーマンの1.5倍ですが、テント泊縦走に出かけるチャンスが多いのは、じつは毎週2連休が確保されているサラリーマンのほうなんです。

山が近いので、単休でテント泊して早朝下山してエクストリーム出社、なんてこともできなくはないのですが(何度かやりました)、もしおなじ条件で2連休あれば、2泊したうえでエクストリーム出社をキメられるわけです。

しかも、カレンダー通りの休日がもらえるひとは、3ヵ月に2回は3連休があって、GWや年末年始には大型の連休があります。たしかに「自分の好きなタイミングで長期の休みをとる」という意味ではいまの働き方がいいけど、「カレンダー通りにきっちり休みがある」というのは実はかなり魅力的だなと感じるようになりました。

秋の槍ヶ岳

「山に登ること」を仕事にする怖さ

山に対して、かなり臆病になったと思います。

働きはじめたころは、ガイドの資格をとって、ガイドになろうとも思ってました。実際、ガイドをしながらお店で働いている先輩もいて、収益を増やすという意味でもアリなのかなと思っていました。

ただ、登山をするほど山の怖さがわかってしまったというか、とにかく2年前とくらべると山のリスクについていろいろと考えるようになりました。もともとは「経験と体力があればまあそうそう死ぬことはないかな」というイメージだったんですが、いまは「経験や体力があっても、死ぬときは死ぬ」と思っています。

ガイドというのはひとの命を預かる仕事なので、現時点でそれをやる経験や技術はないと思ってますし、なによりも、あまり積極的にガイドをしたいと思わなくなりました。

他にも「山に登ること」を仕事にしたいなと考えていたりもしましたが、「山に登ること」自体を仕事にできるひとというのは、プロのアスリートなんですよね。アレックス・オノルドとか、キリアン・ジョルネとか。そういう世界にいけるのか、というか目指したいかと言われると、これもちょっと違うな、と感じました。

彼らのような生死のギリギリのラインを攻めるような山ではなくて、もうちょっとゆるく、テント泊が楽しいとか、ビールがうまいとか、あのルートが登れたとか、そういう距離感での山との関わりをしたいなと思うようになりました。

登山を便利にするアプリが作りたい

じゃあ結局どういう形で山と関わっていくのか、自分のやりたい登山とはなんなのか、というのを考えた結果、「登山をもっと楽しくするアプリをつくりたい」というのが、現時点での答えです。

思い返してみると、大学のころにブログを始めたのがきっかけで、なんだかんだで今もこうやってヤマワカで情報発信を続けているんですが、その根源はやはり「楽しいし、好きだから」なんですよね。意識しはじめたのは最近ですが、「ウェブ×登山」というやり方でずっと登山と関わってきて、たぶん目指すべきはこの延長線上なんだろうな、と。

それと同時に、「ウェブでの情報発信×登山」の限界も感じていて。登山に関するネット上の情報について言えば、現時点ではマトモで価値のある情報にたどり着くことすら大変という有様(Googleさんにはそのあたりがんばってほしい)。そして、ぼくが本当にやりたいのは「情報提供」ではなくて、その先の「体験」を生み出すことなんですよね。たとえば、ヤマワカを見て買ったレインウェアがめちゃくちゃ快適だった、とか、そういうやつ。

そんな中できっかけになったのは、UI/UXデザイナーの安藤剛さん。登山つながりでツイッターでお話しする機会があって、「VRをつかって山の地形が直感的に分かるようになったら面白いですよね」みたいな会話をしたんですが、そのときに「あ。そういうモノが作りたいんだ!!」とすごくピンときました。

たとえばメルカリならば「いらないものを売る」という体験を、YAMAPならば「電波のない山のなかで現在地を知る」という体験を実現したように、アプリには「体験」を生み出す力があります。そして、プログラミングをちゃんと勉強すれば、そういうアプリを作れてしまうんですよね。

もちろん、まだまだヤマワカで実現したいことはたくさんありますし、アプリをリリースするにしても「情報」はとても大切になると思っているので、引き続きヤマワカも更新していきます。

札幌でエンジニアとして働きます

ある程度ちゃんとした収入を得て、休みの日は山に登り、かつアプリ開発もしたい。そんなビジョンを実現するために、ふたたびエンジニアになることにしました。

じつは半年ちかく前の段階でこのステップを見据えていたのですが、プログラミングの勉強をしたり、インターンをしたり、方向性を変えたりと紆余曲折あって、つい先日、内定をいただきました。4月の後半からエンジニアとして働きます。また、登山や自然を楽しめるフィールドがあるという条件で住みたい場所をピックアップした結果、北海道札幌市に住むことになりました。

エンジニア経験があるとはいえ初心者に毛が生えたようなものなので、たくさん勉強してしっかりスキルを磨いて、アプリ開発をしていくつもりです。アイディアはたくさんあるので、簡単なものからどんどん作ってリリースしていく予定です。

まとめ:「好きなことで生きていく」を実現したい

夏の美ヶ原

そんな経緯で、登山用品店を退職して、新卒でやっていたエンジニアにふたたび戻るというアホなキャリアを歩むことになりましたが、この1年半があったからこそ、「好きなこと・やりたいこと」をより解像度をあげて捉えられるようになりました。自分の気持ちに素直に行動して良かったなと思っています。

また、現職もあと3週間ほど務めることが決まったので、松本での日々を大切にしながらしっかり働きたいと思います。

そんなわけで、これからも自分なりの「好きなことで生きていく」を追求していきます!『ヤマワカ』の更新もがんばるので、これからもどうぞよろしくお願いします!

南蒼樹

ソウジュ

「登山用品店って実際どんな仕事してるの?」と思ったかたはこちらをチェック!
山で迎える夜明け登山用品店のリアル。仕事内容からメリット・デメリットまで話してみる
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4 COMMENTS

susumuoh

好きなことで生きていくには、ある程度お金が必要ですね。
また、制約があるなかで好きなことをすることに価値があるのかも。
「ヤマカワ」の更新を楽しみにしています。

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南蒼樹

そうですね、この1年半での学びです。

ありがとうございます!更新がんばりますので、よろしくお願いします!

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トミオカユウコ

嵐のような読み応えたっぷりのブログと「ヤマワカ」でした。
お若くて正直でまっすぐな方なんだなぁ、と感心しました。
目指す生き方は、常識的に考えたら破天荒なんだけど、ご本人が真剣で真面目で、スバラシイと思います。
短い時間の中でたくさんの経験をし、そこに思考が伴っているのでちょっと驚きでした。濃度が半端ないですね。
お身体を大事にして活動してくださいね。

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南蒼樹

ありがとうございます!

これからも自分の目指すものに向かって楽しみながら進んでいけたらと思います。

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