登山用品を選ぶとき、モノによっては『ロング』『レギュラー』そして『ショート』という3つの選択肢がありますよね。シュラフ(寝袋)やマットが代表的なアイテムでしょうか。
そして多くのひとは、とくに深く考えず、無難な『レギュラー』を選んでいるのではないでしょうか。
でもぼくは、ほとんどの場合『ショート』を選びます。そこでこの記事では、スルーされがちな『ショート』という選択肢の魅力を語ってみようかなと思います。
ショートサイズを選ぶ理由
結論からいうと、ショートサイズの魅力は以下のふたつ。
- ジャストサイズのほうが快適
- 軽量化コンパクト化でき、所有コストが減る
シュラフとマットを具体例として、実際に使う場面を想定しながら説明していきます。
テントでの生活はジャストサイズのほうが快適
まずはシュラフについて。各メーカーが公開している「ショートサイズの適応身長」は165~172センチと幅がありますが、個人的な感覚では、175センチくらいまでの人であればショートで使えてしまいます(ちなみにぼくは168センチ)。
日本人の平均身長が男性で171センチ、女性で151センチ(成人のみにすればもう少し伸びる気がしますが)なので、平均くらいまでのひとはショートで十分ということになります。
シュラフは無駄なスペースがあると保温のロスになるので、ジャストサイズで使ったほうが熱効率的に有利になります。
また、テントの生地に触れると結露してダウンが濡れてしまうので(結果として保温力がさがる)、できるだけテントの壁にくっつかないように使いたいところ。
テントの長辺は210センチのものが多いのですが、シュラフの最大長はショートで198センチ、レギュラーで204センチほど(長いもので210センチ)。つまりレギュラーだと少し動いただけでテントに触れてしまいまうことになります。その点、ショートならテントに接触することはほとんどありません。
安パイのはずのレギュラーサイズのシュラフ、意外と分が悪いのをお分りいただけたでしょうか。
さて、お次はマット。マットはショートで120センチ、レギュラーで180センチほどのラインナップが一般的です。
マットはもちろん寝るときに体の下に敷くことになりますが、レギュラーサイズだとテント長辺にほぼぴったり。ザックはむりやり足もとに追いやるか、横のスペースに置くことになりますよね。
スペースに余裕のあるソロテント泊ならこれで問題ないですが、2人もしくはそれ以上でひとつのテントをシェアするとなると、このザックが邪魔になります。挙句、「2人なのに3人用テントを使う(1人分はザック置き場)」という、よく分からない事態に…。
ショートサイズにしておけば、頭からお尻までをマットでカバーして、それより下はザックをマットがわりにすればいいのでスペースが有効に使えます。
ヨウコ
ソウジュ
実はぼくもずっとそう思っていたんですが、思い切って試してみるとただの杞憂だったことを知りました。
雨の日でザックが濡れていたとしても、ザックカバーやレインウェアをかぶせてしまえばシュラフがびちょびちょになることはありません。
軽量化・コンパクト化ができ、所有のコストがさがる
ショートサイズのふたつめの魅力は「身軽になれること」。
当たり前のことですが、ショートならレギュラーよりも軽くなるので文字通り身軽になれますし(サラッと書いたけど実はこれとても大事)、コンパクト化も大切なポイントです。
コンパクトな装備はパッキングが簡単ですし、うまくやれば、わざわざ大きいザックを買わずにテント泊ができてしまいます。
よく「登山装備を100g軽量化するには10000円かかる」と言われますが、サイズダウンであれば値段はすこし安くなる(もしくは変わらない)ので、入手時のコストは下がります。
たとえばサーマレストの定番マット・Zライトソルはレギュラーなら7200円ですが、ショートなら5500円。25%も安く買えてしまいますね。
軽量化・コンパクト化できて、お財布にも優しい。適切なサイズ選びのメリットは、一石二鳥どころじゃありません。
まとめ:大は小を兼ねない!
ついつい無意識に「大は小を兼ねる」という思考に偏りがちですが、じつは『小』にもたくさんの魅力があることに気づいていただけたでしょうか。ぼくは、少なくとも登山においては、「大は小を兼ねない」と思っています。
実はぼくは登山用品店で働いているのですが、 「ショートで全然OKですよ」と言ってもあまり信じてもらえません(悲しい…)。よくよく聞いてみると、「装備を削るのはガチ勢」というイメージがあるようで。
たしかに軽量化は経験が必要な技術ではありますが、だからこそ、『装備を減らす』ではなく『サイズダウン』という選択で軽量化の第一歩を踏み出してみるのはいかがでしょうか。一度試せば、その快適さにビックリすると思いますよ。
登山のキュレーションメディアに負けないで、御自身の経験から価値のある情報を発信されていますね。
頑張って下さい。応援しています。
ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです。
引き続き実体験ベースで情報発信を続けていきますので、よろしくお願いします!!!