ここでは、モンベルの登山用テント『ステラリッジ2型』をレビューしていきます。
3年ほどまえにこのテントを買ってから、3000mの稜線から冬山、そして海外での縦走まで、すくなくとも50泊はしてきました。
本記事では、そんな経験をふまえつつ、ステラリッジの使い勝手や感想をレビューしていこうと思います!
- はじめて買う登山用テントを探している
- ステラリッジのぶっちゃけた使い勝手が知りたい
そんなひとはぜひ参考にしてみてください。
*なお、ここでレビューするのは3年ほど前のモデルです。その後のモデルチェンジによって細かい仕様がかわっている可能性がありますのでご了承ください。
目次
ステラリッジはめちゃくちゃコスパのいい山岳テント
まず結論からいうと、ステラリッジは「超コスパのいい山岳テント」です。
本格登山用のテントとして必要十分な耐久性を備えつつ、軽くてオプションも豊富。もちろんデメリットもありますが、致命的な欠点はありません。そして、ダントツで安い。
値段のほかに突出した強みはないものの、すべてにおいて80点をとってくるような優秀なヤツ。
使うひとを選ばないオーソドックスなつくりで、初心者からベテランまで数多くの登山者に選ばれつづけているテントでもあります。
ソウジュ
とくに「初めて登山用のテントを買う」というひとには、自信をもっておすすめできるテントです!
モンベル・ステラリッジのメリットとデメリット
メリットとデメリットをまとめるとこんな感じ。
山岳テントのなかでダントツに値段がやすい
登山用テントとしては軽いほう
50泊のテント泊でもへたらない耐久性
オプションが豊富で修理もしやすい
テント場で自分のテントが見つけられなくなる
オプションパーツを買う時には注意が必要
ソウジュ
山岳テントのなかでダントツに値段が安い
ステラリッジの唯一にして最強の強みが、値段の安さ。
断言します。ステラリッジ以上にコスパのいいテントは存在しません。
登山用のテントを新品で買おうとすると、テント本体・ポール・ペグ・フライシートをあわせて最低でも40000円、高ければ70000円ほどかかってきます。
ステラリッジは1型( 1人用)で39000円(税別)・2型(2人用)で41200円(税別)と、山岳テントの価格分布の最低ラインに位置しているので、「できるだけ安く、でもちゃんとした山岳テントがほしい!」というひとには全力でおすすめします。
とくにこれからテント泊にチャレンジするひとは、マットやシュラフ(寝袋)・大型バックパックなど、テント以外にもいろいろな装備が必要になりますよね。
ステラリッジであれば、テントのコストをできるだけ抑えて他のアイテムにお金をまわすことができます。そういう意味で、初めてのテントとして最高の選択肢だと思っています。
ちなみに、ぼくが初めて買った山岳テントも、このステラリッジの2人用でした。
ほかに安くゲットできる登山用テントとしてはアライテントの『エアライズ(1人用39000・2人用44000)』あたりになりますが、それでもステラリッジのほうが安上がりです。
登山用テントとしては軽いほう
登山ではテントを背負って山を移動するため、その重さと収納性もとても大切なポイント。
ステラリッジはペグやフライをすべて合わせて1610グラムなので、山岳テントとしては標準からやや軽い部類に入ります。
ちなみに、ダブルウォールテント(フライと本体が別になったタイプのテント)の重さのイメージはこんなかんじ(アイテムはすべて2人用です)。
重さ(グラム) | イメージ・感想 | 具体的なアイテム(メーカー) |
---|---|---|
~1000g | めちゃくちゃ軽い。神。 | ブレイズ2P(NEMO) |
1000~1200g | 超軽量。ヤバい。 | フライクリークUL2(ビッグアグネス) |
1200~1500g | かなり軽量。 | カミナドーム2(ファイントラック ) |
1500~1800g | ふつう。 | エアライズ2(アライテント) |
1800~2000g | ちょっと重め。 | ドマドーム2(アライテント) |
2000g~ | 重い。 | エリクサー2(MSR) |
ソウジュ
「ダブルウォールで1200g!」とかたまに見かけますが、実際には本体だけの数値で、フライやペグをいれると1500gくらいになってしまうこともしばしば。
1610gはめちゃくちゃ軽いわけではありませんが、ペグ12本ふくめた数値なので(メーカーによっては8本とかにしてます)、実際には「そこそこ軽い」と言えるレベル。
基本的には軽さを突きつめるほど値段が高くなるので(例えば1430gのカミナドームは約67000円)、この値段でこの軽さを実現できているのは、ハッキリいうとめちゃくちゃすごいです。
収納サイズについては、とくにかさばりもせずコンパクトでもなく、標準的ですね。
50泊のテント泊でもへたらない耐久性
登山用テントの命は耐久性。とくに悪天候でテントが壊れると命に関わるので、妥協できない大切なポイントです。
今まで50泊以上、厳冬期の南アルプスから真夏の炎天下の海キャンプにまで使ってきましたが、とくに気になるような脆弱性は見つけられませんでした。
ぼくは年間80日ほど山に入るのですが(そしてその半分ほどがテント泊)、それでもテントが壊れたりポールが曲がったりした経験はなく、3年たった今でもまだまだガンガン使っています。
さすがにポールスリーブ(ポールをとおす部分)にちょっとした気泡が入ってしまったり、ポールのゴムが伸びてきたりしていますが、使うのに支障はありません。
唯一気になったのが、知らないうちにテントのボトムに小さな穴があいていて、大雨にふられたときにテントが浸水したこと。
おそらく尖った石であいた穴だと思うのですが、それまでグラウンドシートを敷かずに使っていたので、テントの耐久性というよりはぼくの使い方の問題だったと思っています(そのあとグラウントシートを買いました)。
ちょっとマニアックな話をすると、ステラリッジの本体・ボトム・フライには30デニールのリップストップナイロンが使われているんですが、これはかなりしっかりした作りだと言えます。
1500gを切るテントは20デニール以下の糸が使われることがおおく、軽量化とひきかえに、あるていど耐久性が犠牲になっています。
『デニール』と『リップストップナイロン』って?
「デニール」は、生地のもとになる糸の太さの単位。この数値がおおきいほど太く、頑丈だといえます。
「リップストップナイロン」は、格子状に太い糸を織り込んだナイロン生地のこと。ノーマルなナイロンよりも引き裂き強度が高いのが特徴です。
オプションが豊富で、修理もしやすい
使っている登山者がおおく、オプションが豊富なのもステラリッジのメリット。
冬用のフライを買えばオールシーズン使えますし、購入から何年かたったあとでもオプションパーツのグラウンドシートを購入できたのもありがたかったです。
また、市場に出回っている数もおおいので修理もしやすいです。
登山用品店で働いている経験からいうと、「珍しい道具」というのはたしかに魅力的なのですが、もし壊れたときにパーツを入手するのが難しく、修理できないことが多いのです。
そういう意味でいうと、ステラリッジはもっとも修理しやすいテントだと言えるでしょう。市場に流通している数も豊富ですし、メーカーの『モンベル』は国産メーカーなので融通もききやすいです(ついでにいえば、修理もスムーズにおわる傾向があります)。
登山用品は消耗品なので、「壊れても修理できる」というのは地味に大切なポイントです。とくに単価のたかいテントだからこそ、アフターケアについても考えて購入したいですよね。
テント場で自分のテントが見つけられなくなる
ここまでメリットをお話ししてきましたが、もちろんデメリットもあります。
まず、人気ということの裏返しで、山小屋のテント場につくと必ずひとつは同じテントが張ってあります。
今でこそフライシートの色が選べるようになりましたが、もともとはオレンジ1色だったので、人気のテント場にいくと、冗談ぬきで自分のテントの見分けがつかなくなることも。
「他人とかぶるのは絶対に嫌だ!」というひとは、他のテントを選んだほうがいいかもしれません。
オプションパーツを買うときには注意が必要
さきほど「オプションパーツが豊富」というメリットをあげましたが、もう少しつっこむと、ここでも注意が必要です。
見た目はほとんど変わっていないのですが、少しずつモデルチェンジしているので「オプションのパーツが自分のテントに適合しているか」はそのつど確認しなければいけません。
ぼくは「冬用のフライ(外張りといいます)がほしい!」と思って注文したところ、世代がちがって自分のテントにつけられなかった、という失敗をしたことがあります。
ソウジュ
意外とハマりやすい落とし穴なので、気をつけましょう。
まとめ:ステラリッジは初めてのテントにおすすめ
いろいろと書いてきましたが、致命的なデメリットがあるわけでもなく、とてもコスパに優れた優秀なテントだというのが正直な感想です。
最近のモデルはポールのスリーブが改良されてより簡単に設営できるようになっていますし(『オフセットスリーブエンド』といって、片側からポールを差し込むだけで設営できる)、他メーカーの山岳テントと比べても使い勝手にはほとんど差がありません。
さいごに、「こんな人におすすめ!」「こんな人には不向き!」というのをまとめておきますね。
はじめて買うテントをさがしている
できるだけ安く、本格登山用テントがほしい
ほかの人とテントがかぶるのは絶対に嫌だ
ソウジュ
*ステラリッジは、フライシートの色を選べるように本体とフライが別売になっています。購入の際はご注意ください。
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