登山用品店のリアル。仕事内容からメリット・デメリットまで話してみる

山で迎える夜明け

こんにちは、南蒼樹です。

先日の登山用品店の退職エントリに予想を超える反響があり、その続編として(?)、1年半お世話になった登山用品店の仕事のリアルを書いていこうかなと思います。

個人的にはこの1年半の振り返りとして、外向きには「登山用品店で働いてみようかな」と考えているかたの参考情報として、いままでの体験を赤裸々に書き起こしていきます。

冬の常念岳【好きなことで生きていく】登山用品店を退職します

はじめに断っておきますが、「業界の闇を大暴露!」みたいな記事ではありませんのでご了承ください。

大手の登山用品店でアルバイトとして1年半働きました

まずはじめに、どんな感じで働いていたのかサクッとまとめておきます。

  • 会社:某大手登山用品店
  • 勤務地:長野県松本市
  • 形態:アルバイト(フリーター)
  • 時給:900円(800 or 850円スタート)

ほぼフルタイムで、2017年10月から2019年4月までの約1年半お世話になりました。

地方の店舗なので、全体として「めちゃ多忙!」なんてことは少なく、そのぶん丁寧に仕事ができる環境だったと思います。このあたりは勤務地や勤務形態によって差があるとおもうので、あくまで個人の体験ベースでお話ししていきます。

また、時給については2019年5月時点の求人で950円となっています。

登山用品店の具体的な仕事内容

時間配分は日によってバラつきがありますが、主につぎの3つの業務をしていました。

  • 入荷・出荷処理
  • 接客・レジ
  • 売り場づくり

それぞれ具体的に説明しますね。

入荷・出荷処理

メーカーから届く荷物を開封して、納品書のとおり入ってるかチェックたあと、在庫データとして登録します。お店の在庫データに関わることなので地味に重要。

荷物の量は日によって違うのですが、商品の入れ替え時期(アパレル業界もそうだと思いますが、登山用品も主に春夏・秋冬という2サイクルで1年がまわってます)は検品だけで業務時間がほぼ終わってしまう、なんてこともあったりします。

出荷処理は、メーカーへの返品やお客さまへの発送、店舗間の移動などで商品を発送する一連の業務です。

わりと単調な仕事なので、ハッキリ言って飽きるときもあります。一方で新製品などプロダクトに真っ先に触れることができるので、気になっているギアが入荷すると一気にテンションがあがります。

個人的には、どれだけ効率化できるか考えて工夫してみたり、あまり興味がない商品でも目を通すことでアンテナを張ってない部分の情報を入れたりして楽しんでいました。

接客・レジ

これはもう想像通りだと思います。

お客さまとお話しして悩みを解決したり、商品を提案したりして、最終的にはレジ対応をしてクロージングまで。アルバイトでも一連の流れを任せてもらえるので、裁量は大きいのかなと思います。

とくに登山用品は命に関わる専門店なので、適当なことは言えません。自分の知識と経験がモロに出る部分なので、シビアでもあり面白いところでもあります。

お客さまとの会話から「そんな視点あったんだ」とか「知らなかった!」と学ぶこともたくさんあり、接客業の醍醐味だなと感じました。

また、同じことでも伝え方で反応が全然ちがってくるので、「どう言えばわかりやすいのか」といったことを考えたり、他のスタッフの接客トークを盗み聞きしたりして自分なりに研究したりもしてましたね。

ソウジュ

正直、ここはもっともっと突き詰められたと思うのでまた同じような場面があれば追求したいなと思っています。

売り場づくり

入荷した商品を店頭に並べたり、商品を整理したり。

あと、おそらく一般的なことだと思いますが、ぼくのいた店舗ではかなり頻繁に売り場の配置がえをしていました。登山靴とザックを入れ替えたり、ディスプレイの方法を変えたり、常にどこかしらが動いているような状態です。

限られたスペースをどうやって有効活用するか、どうやって見せるか(イチオシ商品を目立つ配置にしたり)といったことを自由に考えて実行できるので、個人的にはこれもけっこう楽しかったですね。

ソウジュ

めっちゃ苦労して綺麗にディスプレイしたところが翌日移動されていて「マジか…」となることもあります

各業務の時間配分について

それぞれの業務の時間配分は日によってバラバラですが、全体を通しての平均としては

  • 入荷・出荷処理…50%
  • 接客・レジ…20%
  • 売り場づくり…30%

ぐらいの肌感です。

アルバイトは裏方作業が多めで、正社員は接客がメインになる傾向にあるかと。

福利厚生について

山好きがおそらくもっとも気になるであろう登山用品店の福利厚生、「登山用品の社割」。

メーカーや商品ジャンルでかなり違うんですが、大雑把にいって3割前後の割引で購入していました(あえてザックリに留めていますが、そのあたりは察してください)。正社員だともうちょっと割引率が上がります。

また、この社割の割引率は会社によってだいぶ変わるようで、某大手さんはほぼ割引がないとの噂もありました(ぼくのいた会社は業界内でも割引率がいいみたいです)。

思ったよりも少ないと言われそうですが、登山にハマると年間でウン十万単位で登山用品にお金をつっこむことになるので、常に3割というのは地味に大きいです。

ソウジュ

ちなみにぼくの2018年の登山用品購入金額は社割後で40万ほどでした…

そのほか、交通費なんかもでるはずです(チャリ通勤だったのでもらってませんが)。

また、ぼくはほぼフルタイムで働いていたので、社会保険も会社に払ってもらっていました(ありがとうございます)。

いいところ・メリット

登山用品店の店員という仕事のいいところを個人的にまとめます。

山が大好きなひとと仕事ができる

とにかく、人が素晴らしかったです。

都会の店舗だとそうも行かないのかもしれませんが、ぼくのお世話になったお店はメンバー全員が山に精通していました。好きなことが共通なので自然とその話題で盛り上がりますし、情報を共有したり休日に一緒に遊んだりとかなり贅沢な環境。

結果としてスタッフ同士の仲がいいので、人間関係でのトラブルはまったくありませんでした。

ソウジュ

むしろ、これ以上望めないくらいのメンバーに恵まれていたと思います

山道具の最新情報をキャッチできる

文字通り最新のプロダクトに触れる機会があるので、ギア好きとしてはめっちゃメリットです。

ただ、ボケーっとしてると情報は入ってこないので、自分で主体的に情報をとりにいく必要があります。より正確にいうと、情報をゲットできる環境である、という感じでしょうか。

休みがかなり自由にとれる(アルバイト)

アルバイトだったので、休みはかなり自由にとることができました。退職エントリにも書きましたが、申請した休みはだいたい希望どおりにもらえていました(繁忙期などで例外はありますが)。

だいたい毎月5連休を1回いれたりとか、最長で1ヶ月の連休をもらったこともあります(北アルプス全山縦走にチャレンジしたんですが、膝をいためて5日で下山するという黒歴史)。

ソウジュ

ただこの点については、典型的なサラリーマンのようなカレンダー通りの休みも魅力的だということを付け加えておきます。

微妙なところ・デメリット

逆に、ここは微妙だな〜というところも。

アナログな業務が多い

送別会のときにもバシッと言ってきたのですが、登山業界の特性なのか、デジタルに弱いんですよね。

入荷や発注のフローにしろ、受注販売のフローにしろ、『紙 + 手書き』というのがデファクトスタンダードになっていて、時間かかるわミスでるわで本当になんとかしたいなと感じるところでした。

ここを効率化できたら業績もかなり変わると思うんだけどなぁ…とか、偉そうに思ってました。

現場と本部の連携がちぐはぐ

店舗とべつに本部があり、基本的にはトップダウンで指令がおりてくるスタイル。その指令が「本当に現場わかってる???」という意味不明なもので、店舗スタッフがそれに振り回される、というパターンがちょくちょく発生します。

そのたびに「なんでやねん!」と思ってしまいます。個人的にはこれがいちばん嫌だったかも。

休みが少ない(正社員)

正社員は、アルバイトと違って休みを自由に取得するのは結構むずかしそうでした(もちろん希望はだせます)。休みの数自体は年間で100日以上はあると思いますが、連休が少なく、また繁忙期には月の休みが5日程度になることも。

休みのとりやすさという点では社員とアルバイトでは天と地ほどの差がありますね。

やりがい・嬉しかったこと

仕事のやりがいとしては、自分の知識や経験がお客さんの悩みの解決に直結することに大きかったと思います。自分の経験やコミュニケーションが、目に見えるかたちで「ひとの役に立つ」感覚は、なかなか他の仕事では味わえないかもしれません。

具体的にいうと、お客さまの「登山靴がほしい」「どんなザックにすればいいか迷う」といった悩みを、お話ししながら情報を整理して、それぞれに最適だと思う商品を見つけて提案する、という流れです。

その場でいいものが見つかるときはもちろん、あとから「このまえ一緒に選んでもらったザックめっちゃ良かった!」なんて感想をいただけることもあって、最高に嬉しいなと感じます。

また、自分からあたらしい提案をしたり企画をうったりできるのも良かったかも。

たとえばぼくはウェブ制作会社でインターンしていた経験を生かして売り場のPOPをゼロから作らせてもらったり、ガイド資格のある社員さんは自治体と連携して登山ツアーを企画したりしていました。

「これをやりたい」ということは比較的実現しやすい環境なので、主体的に動くほど仕事の面白さが増していく職場だと思います。

まとめ・「誰でもできる仕事」の先に面白さがある

これまでの仕事を振り返りつつ、思いつくままに書いてみましたが、まとめると、以下の条件にたくさんあてはまるひとは登山用品店は向いてるというか楽しいんじゃないかな〜と思います。

  • 登山とアウトドアがめっちゃ好き
  • 登山用品が好きで、深掘りしたくなる(オタク気質)
  • 人と話すのが好き(苦ではない)
  • 情報収集をしたり知識をつけるのが楽しい
  • どうやったらもっと良くなるか?を考えるのが好き
  • 登山関連で実現したいビジョンやアイディアがある

たしかに「誰でもできる仕事」ではありますが、そこからオリジナリティを出して差別化したり、アレンジは自由自在。「誰でもできる仕事」にとどまらず、その先を追求することに喜びを感じるひとにはすごく面白いフィールドなんじゃないかと思います。

登山が好きで好きで仕方がないひとは、ぜひ転職先やアルバイトの候補として検討してみてはいかがでしょうか。

ソウジュ

退職エントリでは、退職に至った経緯やこれから実現したいことを書いてますのでよろしければ合わせてぜひ!
冬の常念岳【好きなことで生きていく】登山用品店を退職します

南蒼樹

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