サロモンの『XA PRO 3D GTX』というローカットシューズを使い始めてから、8ヶ月。この8ヶ月というもの、普段の生活でも、旅先でも、登山でも、そしてクライミングにいくときでも、毎日のようにこの靴を履き続けてきました。
おかげでソールはすっかりツルツルになってしまったのですが、いろいろな条件でこの靴をテストし、良質な考察を得ることができたように思います。
この記事では、そんな経験をもとにして、サロモンの超定番ローカットシューズ『XA PRO 3D GTX』をレビューしていきます。
目次
街でもランでも登山でも。『XA PRO 3D GTX』は一足三役の欲張りトレランシューズ
まず結論として全体的な印象をまとめると、XAプロは「街から縦走登山までこなしてくれる、マルチパーパスな一足」という感じ。
- もっと身軽に、軽快に登山をしたい
- 家を出てから登山をして、帰ってくるまでを全てカバーする1足がほしい
- ときには街やランでも使いたい
XAプロは、そんなワガママを叶えてくれるローカットシューズでした。
サロモン・XAプロを選んだ理由
そもそも、なぜこの靴を選んだのか、というところからお話していきますね。
僕がこの靴を選んだ理由は、大きく分けて次の2つ。
① 登山のときにいくつも靴を持っていくのはめんどくさい
② 重くて硬い登山靴は疲れる
登山にいくときって、いくつかの靴を履き分けていませんか?
例えば、移動中はサンダルやスニーカー、登山中は登山靴で、下山したらまた履き替えて帰宅する、という感じです。
マイカーがあれば別にこれでも苦労しないと思いますが、電車やバスなどの公共交通機関で登山している身としては、これが地味にストレスだったんですよね。
移動中はラクな靴をはいていたい。もしテント泊登山だったら、テン場でくつろぐためのサンダルも欲しい。けど、荷物を増やすのは嫌だ。
それに、ゴツい登山靴は重くて疲れるから、もっと軽快に山を歩きたい。
そんなズボラな性格から、「ローカットの軽い靴を登山靴にしてしまえばいいじゃん!」という考えに至りました。
当初は「ローカットで登山って、大丈夫なの?」と半信半疑だったのですが、調べてみると、無雪期の山行なら、だいたいローカットでも問題ないらしいということが分かりました。
よく考えると、登山よりもずっと怪我しやすそうなトレランの人たちはローカットの靴で山を走り回っているわけで、「登山靴=ミドルもしくはハイカットのゴツいやつ」というのは、登山者の偏見なんですよね。
そうとくれば、行動あるのみ。
防水で、そこそこハードな登山でも使えそうなローカットシューズの定番として見つけたのがこの靴でした。ちなみに、同じ型でゴアテックスをつかっていない(防水でない)『XA PRO 3D』もあります。
ソウジュ
XAプロのメリットとデメリットまとめ
そんないきさつで使いはじめたXAプロ。使ってみてわかった、メリット・デメリットをまとめました。
街でも山でもマルチに使える
軽さと安定感のバランスが絶妙
クイックレースが素晴らしい
ソールの減りが早い
小石や砂が入りやすい
『クイックレース』って?
サロモン独自の『靴ひも』のこと。ワンタッチで靴ひもを締めたり緩めたりできるスグレモノ。
それぞれ、詳しくみていきましょう!
家から山まで『XAプロ』だけですむ快適さ
まずこの靴のいいところは、「ローカットの登山靴がほしい!」と感じたキッカケを見事に解消してくれたこと。
XAプロを使い始めてからは、駅まで歩いているときも、移動しているときも、登山しているときも、すべてこの一足でこなせるようになりました。それでいて、登山靴より軽快に歩くことができるんです。
調子がよすぎて、すぐに普段の生活や旅行でも使うようになりましたね。
特に旅行では、旅先で「どんなアクティビティをするか」によって持っていく靴を選ばなければいけません。でも、この靴なら街歩き・雨の日・アウトドアで分け隔てなく使えるので、気がついたらこの靴ばかり履いていました。
まさに絶妙!軽さと安定感のバランス
XAプロのとくに優れたポイントは、この『軽さと安定感のバランス』だと感じています。
もともとが『クロスアドベンチャー』、つまりロード(舗装路)から登山道、そして道なき山を走破するために開発されただけあって、『軽さ』と『安定感・剛性』という相反する要素が絶妙なバランスで組み合わさっています。
これは、靴をひねってみると分かるのですが、XAプロは他のトレランシューズよりもあきらかに『ねじれ』が少ない、剛性の高いつくりをしているんですね。
なので、片足でだいたい390gと、多くのトレランシューズよりも少し重くなっています。
また、つま先部分もかなり固めのラバーが使われています。
登山をしていると、木の根や岩に足先をぶつけることってありますよね。そんな時にも、登山靴ほどとはいきませんが、しっかりと足先を守ってくれるので安心です。
さすがに重い荷物での長期縦走には向きませんが、雪がない季節であれば、日帰りの3000m峰登山から、1-2泊の2000m峰テント泊縦走でも十分に使える印象です。
実際、このXAプロで1泊2日の塩見岳(3052m)にも行きましたし、元旦の雲取山(2017m)でテント泊もしましたが、特に困ることもなく、むしろ非常に快適に歩くことができました。
ちなみに、先日『IMM(石井マウンテンマラソン)2018』という1泊2日のロゲイニングのレースに出場してきたのですが、「登山道を外れた山の中から舗装路まで、走り尽くしたい」というときにはベストな一足だと感じました。
ソウジュ

引っかからない、ほどけない!クイックレースの魔法
この靴のもうひとつの特徴は、サロモン独自の『クイックレースシステム』という靴ひもでしょう。
ソウジュ
と思ってしまうほど、めちゃくちゃよく考えられたシステムなんですね。
見た目は頼りないくらいに細い紐ですが、『ケブラー』という、軽量・高耐久の素材を使っているので、強度はバッチリ。
引っ張るだけでキュッと足全体が締まるので、靴ひもを結んだり解いたりする手間がなくなります。
余ったひもは、タンのメッシュポケットに収納すればスッキリ。ブラブラすることもありません。
ヨウコ
ソウジュ
クイックレースの一番の魅力は、「歩いている途中に解けたひもを踏んだり、反対の靴にひもがひっかかったりして、転ぶことがない」ということ。つまり、安全性がとても高いんです。
従来の靴ひもではまず考えられない、「超」画期的なシステム。
ソウジュ
さて、XAプロの魅力はだいたい伝わったかと思います。ここからは、デメリット・イマイチなところを見ていきましょう。
登山靴よりもソールの減りが早い
これはローカットの靴全般に言えることですが、トレッキングシューズと比べて、ソールの減りが早いです。柔らかいソールを使っているので、どうしてもソールの減りは早くなってしまうんですね。
8ヶ月で、かなりツルツルになってしまいました。とはいえ僕はかなりヘビーユーズしてきたので、週1-2日使うくらいなら、1-2年はもつと思われます。
もともと靴自体がトレッキングシューズよりも安い(定価で17000円くらい。トレッキングシューズは物によっては30000円くらいしますよね)ので、「まぁ、こんなもんかな」というのが正直な感想です。
登山靴のソールと比較すると、こんな感じ。右のほうには、「どんな道で使いやすいか」を★の数で表しました。
タイプ | ソールの硬さ | ソールの減り | 岩稜 | 登山道 | 林道 | 舗装路 |
---|---|---|---|---|---|---|
登山靴 | 硬い | 遅い | ★★★ | ★★ | ★ | |
トレッキングシューズ | さまざま | 普通 | ★ | ★★★ | ★★ | ★ |
ローカットシューズ | 柔らかい | 早い | ★ | ★★ | ★★★ | ★★ |
ローカットなので小石や砂が入りやすい
これもローカットシューズの宿命ですが、小石や砂はかなり入ってきます。
といっても、気になったら脱いで取り除くだけなので、それほどストレスに感じたことはありません。クイックレースのおかげで着脱もスムーズですし。
どうしても気になる場合は、純正のゲイターがあるので、それを使うのもいいかもしれません。
XAプロは「ローカット登山靴デビュー」におすすめ
この靴をおすすめしたいのは、ズバリ、「ローカットの靴で登山してみたいなぁ」という人。
僕自身がまさにそうだったわけですが、初めてローカットシューズを登山に導入しようとするとき、こんな悩みを抱くと思います。
-
- そもそもローカットを登山に使えるのか
- 軽快で、かつそこそこ剛性があって安心して使えるローカットがほしい
こういう悩みって、いままでかなり「しっかりした、剛性のある登山靴」で登山をしてきたからこそ感じるものなんですよね。
そんな人にこそ、軽さと剛性のバランスのとれた『XAプロ』をぜひ使ってみてほしいです。
同じくSALOMONのOUTPATHのレビューもお願いします。
リクエストありがとうございます。
残念ながらサロモン・アウトパスは所持していないのでレビューできません。
ただ、ちょうど新しくローカットを探しているところなので、検討してみます!
サロモンシューズを愛用している友人がいて、せっかくだからプレゼントしようと思ってこの靴の利点を調べていました。
とてもわかりやすかったです。
ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
とてもいい靴なので、自信をもっておすすめします!
よろこんでくれるといいですね。