登山用保温ボトルの定番としてしのぎを削る、サーモスの『山専ボトル』とモンベルの『アルパインサーモボトル』。
1シーズン前に山専ボトルの900mLを購入して使っていたのですが、いろいろと考えた結果、アルパインサーモボトルの500mLに買い換えることにしました。今回はその経緯を、おもに『雪山登山での実用性』にフォーカスして書いていこうと思います。
- 雪山登山用の保温ボトルを探している
- 山専とアルパインサーモどっちにするか迷っている
- 保温ボトルのサイズで悩んでいる
という方はぜひ参考にしてみてください。
目次
山専ボトルからアルパインサーモボトルに変えた理由
結論からいうと、買い換えの理由は以下のとおり。
- スペック(保温・保冷)はどちらもほぼ同等
- アルパインサーモボトルのほうが安価で、やや軽量
- 山専ボトルのビジュアルが個人的に好きじゃない
- 900mLは大きすぎた
山専ボトルに大きな不満があったわけではないのですが、全体的にみて「山専よりもアルパインサーモのほうが良さそう」と感じていて、サイズ変更のタイミングと合わせて買い換えた、という感じです。
ここからは、スペック・実用性・サイズという3つの観点から、もうすこし深掘りしていこうと思います。
スペックはアルパインサーモボトルに軍配
スペック(性能・サイズ・重量・値段)を見ると、若干ではありますがアルパインサーモボトルが有利かなという印象。このあたりはいろいろな方が検証比較されているのでサクッといきます。
商品 | 容量(mL) | サイズ(cm) | 重さ(g) | 保温* | 保冷* | 税抜価格(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
山専ボトル | 500 | 直径7*高さ23.5 | 280 | 77度以上 | 10度以下 | 5500 |
アルパインサーモボトル |
500 |
直径7*高さ24 | 265 | 78度以上 | 8度以下 | 3500 |
なお、上記は0.5Lモデルのスペックになります。(*保温・保冷はそれぞれ、95度のお湯および4度の水の6時間後の温度)
保温・保冷の性能はほぼ同等
まず一番大事な保温・保冷の性能ですが、これはどちらも同じようなもんです。
カタログ値には微妙に違いがありますが、使っていて感じ取れるほどの違いはないでしょう。また、サイズもほぼほぼ同じです。
重さ・値段はアルパインサーモボトルに軍配
重さは、アルパインサーモボトルが15g軽い265g。ここは人によって捉え方が変わるところだと思いますが、軽い方がいいのは間違いないので、いちおうアルパインサーモボトルに分があります。
そして一番の差はその値段。山専5500円に対して、アルパインサーモは3500円。倍率にして1.5倍、2000円の価格差はさすがに「ほぼ同じ」とは言えませんね。
そんなわけで、スペックで比べるとすると「性能はほぼ同じだが、安価なアルパインサーモが良さげ」という結論に落ち着きます。
実際の登山での使いやすさはほぼ変わらず?
次に検討すべきは、実際の登山における使いやすさ、つまり実用性。結論から言ってしまうと、現段階ではどちらもほとんど変わらないと感じています。
両者のおおきな違いは
- ボディリングの有無
- コップの形状
の2点。どちらも、雪山でグローブをした状態での取り出しやすさやグリップの良さに考慮したパーツになります。
ちなみに、中栓の構造もかなり違う(山専は2重のダブルスクリュー、アルパインサーモは1重)のですが、山専ボトルを使っていて2重栓のメリットをとくに感じなかったので未評価としました。
山専ボトルのボディリングは個人的には不要
まずはボディリング。こちらは、山専にあってアルパインサーモにはないパーツになります(写真の黄色いやつ)。
本体にシリコンのリングがあると滑らない、というのはたしかに納得できるのですが、そもそも昨今のグローブはインナーでもオーバーでも基本的に手のひらにはグリップ加工がほどされています。なので、使い勝手はあまり変わらないんじゃない?というのが正直なところ。
たしかにフタが凍りついた場合などはグリップがあったほうが有利だとは思いますが、保温ボトルのフタが凍るコンディションというのもちょっとイメージできないです。
あと、これは本当に個人的かつ実用性には無関係な意見になりますが、
ソウジュ
というのは買った当初からずっと感じていました(隠)。
コップはどちらも秀逸
そして、コップの形状。
山専ボトルのコップは凹凸とくびれがあり、一方のアルパインサーモボトルは最上部(コップの底部分)にシリコンのリングがついたシンプルな形状です。ザックから取り出ししたり、コップとして使ったりするシーンでどちらが使いやすいのかというと…
ソウジュ
正直なところ、あまり差はないですね。
ちなみに、コップは個人的にかなり重要なパーツ。なぜかというと、雪山登山ではお湯と雪を混ぜながら飲むからです。どちらのボトルも保温力が強すぎるので、休憩のときにそのままお湯を飲もうとすると熱すぎて飲めないんですよね。
というわけで、雪がたっぷりある冬山では、コップに半分くらいお湯を入れて、そのへんにある雪を溶かして温度を下げながら飲む、というのがぼくのスタイルです。
話がそれましたが、形状による使い勝手は両者ほとんど差がない、というのが現時点での感想です。
保温ボトルは0.5リットルで十分
最後に、サイズについてです。
去年1シーズン使って気づいたのは、「900mLは大きすぎる」ということでした。買うときには「500mLだと足りないだろうな…」と思って900mLを選んだのですが、いざ使ってみると、下山時にかなりのお湯が残っている、というのがお決まりのパターン。
もちろん小さいほうが軽くてコンパクトなので、500mLで済むならばそっちのほうがベターですよね。そもそもなんでこんなに残るのか考えたところ、おおきく2つの理由を思いついたのでご紹介します。
雪を溶かすので摂取する水分量が増える
まず、さきほどお話ししたように、お湯が熱すぎてそのままでは飲めないので、雪を混ぜながら水分補給することになります。その結果、ボトルに入れている量よりもかなり多い量の水分を補給することになります。
それならはじめからぬるいお湯にすればいいという意見もあるかもしれませんが、そんな温度調整をするのは面倒ですし(ズボラ)、緊急時のことを考えると、できる限り暖かいお湯をキープしておきたいですよね。
カップラーメンは冬山では作らない
よく900mLを選ぶ理由としてあげられるのは「500mLだと、カップラーメンを作ったら150mLほどしか残らない」という意見です。
ただ、少なくともぼくは、雪山ではカップラーメンを作ることはまずありません。カップ麺を食べるとなると最低でも10分くらいは停滞することになるので、コンディションが読みづらい雪山ではリスクが高いですし、単純に寒い。
ほかの食べ物についてもおなじで、基本的に「のんびりごはんを食べる」ということはほとんどなく、行動食で済ませてしまいます(もしくは行動しながら食べる)。天気がよくて暖かいときはのんびり食べることもありますが、それだけコンディションがよければバーナーを使えるので、お湯に困ることはありません。
つまり、冬山での保温ボトルの中身は基本的にすべて水分補給用となります。
まとめ:登山用の保温ボトルは定番が最強
そんなわけで、全体的にみるとアルパインサーモボトルにデメリットはなさそうだったので(というか、メリットのほうが大きそう)、サイズ変更と合わせて買い換えを決断した、という流れです。
また、買い換えにあたってはほかのボトルもざっくりとリサーチしました。山専とアルパインサーモは定番ですが、やっぱり定番だと面白みがないかな…と思いまして。
アウトドアギアジンさんの保温ボトル比較記事なんかも参考にさせていただいたのですが、「保温力」・「軽量」・「コップつき」という3点を条件にすると選択肢はあまりなく、結果として定番に落ちついてしまいました。「定番が最強」という構図はまだしばらく続きそうですね。
今回は冬山での使用を前提として保温ボトルについて考えてみましたが、夏に保冷ボトルとして使うなら、また違った観点が必要になるかもしれません。保温ボトルえらびのひとつの参考になれば幸いです。
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